超RIZIN3の開催を控える中、今週末=9日(日)に国立代々木競技場第一体育館にて、Yogibo presents RIZIN.47が開催される。
朝倉未来VS平本蓮をはじめ、扇久保博正VS神龍誠の因縁の一戦、会見で乱闘騒ぎを起こした芦澤竜誠VS皇治など日本人対決が並んだ超RIZIN3とは違い、RIZIN.47はMMAルールの日本人対決は1試合のみ、日本人が海外の強豪に挑むマッチメイクが中心のラインナップとなった。
メインイベントは堀口恭司とセルジオ・ペティスによる約3年ぶりの再戦だ。堀口とペティスは2021年12月3日にBellator世界バンタム級タイトルマッチとして、当時王者だった堀口にペティスが挑む図式で拳を交えた。この時は堀口が打撃ではなくテイクダウンゲームで優位に立ち、1Rから4R途中までペティスを圧倒する展開の中、ペティスが意表を突いたハイキックからのバックブロー一発で堀口を沈める逆転勝利を収めている。
©️中村 拓己
この試合は再戦でこそあるものの、前回はケージ・ユニファイドルール・5分5R、今回はリング・RIZINルール・5分3Rとルール面で大きな違いがある。それが試合にどう影響するかも焦点になってくる。
堀口は事前インタビューで「前回こうだったから勝てるというものはない。新しいもの、違うものとして受け取っている」と気持ちをリセットし「(ペティスは前回と比べて)あまり変わらないと思う。自分のスタイル、芯の部分はあまり変えられないんで。逆に自分はずっと引き出しを増やす練習をしてきてで、寝技でも立ち技でも引き出しの数はこっちの方が多い。同じ展開でも違う動きも出来ると思う」と新たな自分を見せると予告している。
ペティスも当然前回の対戦を踏まえて、堀口がテイクダウンゲームを仕掛けてくることを想定して準備もしているだろう。また踏みつけやサッカーボールキックが解禁されたRIZINルールでは、よりペティスは制限なく得意の打撃を出せるという見方もできる。この試合ではユニファイドルールでは見られない、RIZINルールでのハイレベルなMMAを期待したい。
クレベル・コイケVSフアン・アーチュレッタの元RIZIN王者対決も注目だ。元RIZINバンタム級王者のアーチュレッタは昨年大晦日の朝倉海戦で計量オーバーによる王座剥奪、試合もTKO負けという結果に終わった。今回はフェザー級に階級を上げての再出発となる。クレベルも昨年は6月の鈴木千裕戦で計量オーバーによりRIZINフェザー級王座剥奪、9月の金原正徳戦で判定負けと苦しい時期が続いたが、大晦日の斎藤裕戦ではダースチョークによる一本勝ちで反撃の狼煙をあげた。
アーチュレッタはレスリングベースでテイクダウンを軸にフィジカルを活かした戦い方で強さを発揮する。対するクレベルは思い切りのいい打撃とポジション関係なくどこからでもサブミッションを極める力を持っており、ある意味、レスリング・テイクダウンの攻防を捨てられる強さを持っている。打撃で明確なダメージを与えることがなければ、アーチュレッタのトップキープ&コントロールVSクレベルのガードからのアタックというグラウンドの真っ向勝負で主導権を握った方が勝利に近づくだろう。
そして今大会に出場する外国人選手ではラジャブアリ・シェイドゥラエフに注目したい。シェイドゥラエフはプロ戦績9戦9勝のキルギス人ファイター。強力なテイクダウンを軸に締め技を中心に相手を仕留める、いわゆる未知の強豪だ。
昨年行われた韓国・Road FCでの63kgグローバルトーナメントに出場し、準決勝で原口央と対戦予定していたものの、計量時間の遅刻と計量オーバーにより失格という処分が下され、日本人選手と対戦する機会が潰えていた。シェイドゥラエフがRIZINと契約した際にはSNSでも大きな反響を呼び、日本のMMAファンにとっては待望の日本初登場となった。 しかも対戦相手は3月RIZIN神戸大会でのフェザー級転向初戦で萩原京平に判定勝利している武田光司。シェイドゥラエフとしてはバンタム級からフェザー級に階級を上げる形での一戦で、シェイドゥラエフの真の実力が分かる相手とのマッチアップになったと言える。フェザー級はRIZINでも屈指の激戦区で、そのトップ戦線の行方を占うという意味でも、この試合の勝者は重要なポジションになってくるだろう。